2016年8月8日月曜日

海神別荘(かいじんべっそう)



海神別荘(かいじんべっそう)

海底にある宮殿琅玕殿(ろうかんでん)の公子と、地上の美女の恋を描いた物語。
幻想的な宮殿での幕開きに続いて、黒潮騎士に囲まれた美女の輿入れへと、美しい場面が絵巻物を広げるように展開します。公子と美女が対面し、水底の世界の素晴らしさを語り聞かせる公子と、俗世界への未練を残す美女との対話は名場面であり、鏡花ならではの美しい台詞を楽しめます。そして伴奏音楽にハープを用いて、より幻想味を高めているところが坂東玉三郎演出の特色です。

あらすじ

琅玕殿(ろうかんでん)の公子のもとへ、地上の美女が、公子に仕える女房や黒潮の騎士たちに伴われて、輿入れのために向かっています。公子は博士や沖の僧都(そうず)と語り合いながらこの様子を眺め、その美しい姿に嘆息します。宮殿に到着した美女に公子は優しい言葉をかけて、美酒でもてなします。美女はその幸福感を語りつつも地上への未練を訴え続ける為、公子は不機嫌となり、美女がもはや人間ではなくなったことを告げます。美女は深く悲しみ、水底の世界を受け入れようとしません。公子は次第に怒り、美女を斬ろうと剣を向けます...。

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