2016年8月15日月曜日

Kabuki



Kabuki

Ennosuke III: Kabuki Actor (1984) 市川猿之助



Ennosuke III: Kabuki Actor (1984) 市川猿之助 NHK

2016年8月10日水曜日

わが心の歌舞伎座



わが心の歌舞伎座 予告動画

『わが心の歌舞伎座』作品紹介

ようこそ、知られざる世界へ。
2009年、歌舞伎座の建替えによる休場が決まり、歌舞伎座さよなら公演が始まった。刻一刻と休場へと向かう中、数々の名舞台が生まれ続けた。その舞台に出演した名優たちが歌舞伎座への想いを語る。役への一念、受け継がれてきた名跡と芸、初舞台や思い出の舞台、先達の言葉、さらなる目標へと向かう志......。
本作で初公開となる稽古風景や楽屋の日常、美術・音曲・衣裳・かつら・床山・小道具など舞台の制作現場を捉え、さらには歌舞伎座の歴史を彩る物故俳優の思い出も交えながら歌舞伎の真髄に迫る。
16か月に及ぶさよなら公演も千穐楽を迎え、その翌日に一般非公開で修祓式が行われ、遂に2010年4月30日の閉場式が始まる。「都風流」「京鹿子娘道成寺」が演じられた後、総勢300名の俳優と、溢れんばかりの客席の全員が想いを込めた手締式で歌舞伎座は幕を閉じる。
そして俳優たちは、また次の舞台へと向かう―。

日本橋(にほんばし)



『日本橋』作品紹介

泉 鏡花 作
齋藤雅文 演出
坂東玉三郎 演出

『日本橋』は昭和の文豪・泉鏡花が大正三年に小説として発表し、のちに自ら戯曲化するほど鏡花自身が愛していた作品です。坂東玉三郎が齋藤雅文と共に新たな演出を考案、そして実に二十五年ぶりにお孝役に臨みました。平成24年の上演時には満員御礼となったこの人気公演が待望の映画化。玉三郎自ら映像制作に参加し、隅々までこだわりぬいた作品に仕上がっています。あくなき探究と研鑽を積み重ね、芸と美を兼ね備えた坂東玉三郎ならではの『日本橋』にどうぞご期待ください。

あらすじ

大正のはじめ、日本橋には指折りの二人の名妓がいた。稲葉家お孝と、瀧の家清葉である。しかしその性格は全くの正反対で、清葉が品よく内気なのに引き替え、お孝は達引の強い、意地が命の女だった。医学士葛木晋三は清葉に姉の俤(おもかげ)を見て、雛祭りの翌日に七年越しの想いを打ち明けた。しかし清葉は、ある事情で現在の旦那以外に男は持たないと固く誓った身のため、葛木の気持ちはよく分かりながらも、拒んでしまう。葛木は傷心の別れの後、雛祭に供えた栄螺(さざえ)と蛤を放つために一石橋へ向かった。そこで偶然お孝と出会い、お孝は清葉と葛木の関係を知りながら進んで葛木に身を任せ二人は馴染みになった。これは清葉に対する意地だった。しかし、お孝には、腐れ縁の情婦・五十嵐伝吾がいた。それぞれの境遇や胸のうちを抱えながら、お互いに惹かれあうが...

シネマ歌舞伎クラシック(しねまかぶきくらしっく)



[第一部] 隅田川(すみだがわ) 
[第二部] 本朝廿四孝 十種香(ほんちょうにじゅうしこう じゅっしゅこう)
[第三部] 梅雨小袖昔八丈 髪結新三(つゆこそでむかしはちじょう かみゆいしんざ)
[第四部] 二人椀久/年増(ににんわんきゅう/としま) 二本立て

『隅田川』作品紹介

海外公演でも幾度も披露された六世歌右衛門の代表作のひとつ。息子をさらわれて狂女となった母の、子を想う心情を描き出す繊細な演技は、女方芸の極致ともいえます。舟人の役を歌右衛門とぴたりと息の合った十七世勘三郎が勤め、清元志寿太夫の見事な語りが悲しみを誘います。
息子を訪ねて東国までやって来た斑女の前は、隅田川の渡し船に乗ります。対岸では人々が大念仏を行っており、舟人は、行き倒れた幼子の命日に、回向を手向けているといいます―。

『本朝廿四孝 十種香』作品紹介

時代物の姫役の内、大役とされる三姫のひとつ、八重垣姫は、六世歌右衛門が先代の型を継承した極め付きの当り役です。七世梅幸が勝頼、七世芝翫の濡衣、十三世仁左衛門の謙信と豪華顔ぶれです。
八重垣姫の前に、死んだ筈の許嫁、武田勝頼そっくりの男が現れます。許嫁への恋心を燃やす八重垣姫は、やがて本物の勝頼であることを見抜くのですが―。

『梅雨小袖昔八丈 髪結新三』作品紹介

梅雨時の季節感があふれ、江戸の下町情緒が描かれた世話狂言。新三を十七世勘三郎が演じ、十三世仁左衛門の源七、七世梅幸の忠七、七世芝翫のお熊、十七世羽左衛門の家主、五世勘九郎(十八世勘三郎)の勝奴と、最高の顔ぶれです。
白子屋の娘お熊は、家業の借金を返済するために持参金付きの婿をあてがわれます。しかしお熊には忠七という恋人がいました。新三は自分の家にかくまってやる、と忠七をだましてお熊を家に閉じ込めます。やがて身代金をめぐる騒動となり―。

『二人椀久』作品紹介

廓情緒の賑やかさと狂乱する男の哀感が入り混じる名曲。四世雀右衛門、五世富十郎による極め付きの名舞踊です。
大坂の豪商、椀屋久兵衛は傾城松山太夫に入れ込み、恋しさのあまり気が狂い、さまよい歩く日を送っていました。やるせなさに悶える椀久の夢枕に松山太夫が立ち、夢の世界で濃艶な色模様を繰り広げます―。

『年増』作品紹介

芸者あがりの仇っぽい年増の踊りで、旦那との馴れ初めや恋敵との喧嘩の模様を演じます。七世芝翫の当たり役で、クドキや一人二役の仕方噺が見どころです。
浅草の隅田堤。花の盛りを過ぎた葉桜時の夕まぐれに、駕籠から現れた美しい年増。ほろ酔い気分で芸者であった頃の恋の楽しさを思い返し、のろ気を見せる艶姿―。

シネマ歌舞伎クラシック(しねまかぶきくらしっく)



シネマ歌舞伎クラシック(しねまかぶきくらしっく)予告動画

[第一部] 勧進帳(かんじんちょう)
[第二部] 身替座禅(みがわりざぜん)
[第三部] 船弁慶(ふなべんけい)

『勧進帳』作品紹介

『勧進帳』は、能の『安宅』を素材にした舞踊劇。天保十一(一八四〇)年、作者は三世並木五瓶、作曲が四世杵屋六三郎、西川扇蔵の振付で、江戸河原崎座にて七世市川團十郎により、初演されました。以後、九世團十郎によって洗練され、今では歌舞伎の人気演目の代表格となっています。
幕が開くと富樫が登場。富樫は颯爽とした容姿と美声、明晰な台詞回しが要求される役柄です。続いて、花道へ登場した義経は、源氏の御曹司としての気品、落人としての憂いを漂わせねばならぬ難役。そして、義経に付き従う四天王に続いて、武蔵坊弁慶が登場します。弁慶は知勇を兼ね備え、台詞、芝居、舞踊の技量と共に、荒事の力感が必要とされる立役屈指の大役とされています。
安宅の関の通行を拒まれた弁慶たちは、祝詞という合方に合わせて勤行を始め、これに続いて、前半の最大の見どころである勧進帳の「読み上げ」、さらに「山伏問答」となります。次いで強力姿の義経が見咎められ、弁慶が義経を激しく打擲。これを止めた富樫は、一行を義経主従と察しながら、関所の通過を許します。危機を脱した義経が弁慶を讃える場面は、弁慶の忠誠心、弁慶を労わる義経の心情を描き出します。そして、富樫が再び登場し、富樫の酒の勧めに従い、弁慶の延年の舞、幕外の飛び六方を踏んでの引っ込みと、緩急を織り交ぜた見せ場が続きます。

『身替座禅』作品紹介

『身替座禅』は、作詞は岡村柿紅、作曲は常磐津が七世岸澤式佐、長唄が五世杵屋巳太郎で、明治四十三(一九一〇)年、市村座にて初演。狂言の大曲『花子(ルビ:はなご)』が題材です。六世尾上菊五郎、七世坂東三津五郎のコンビでの上演は好評を博し、再演時には、菊五郎家の家の芸である「新古演劇十種」に加えられました。
恐妻家の山蔭右京は、かつて深い契りを交わした花子が上洛したことを知り、何とか逢瀬を実現しようと画策します。そして、持仏堂に籠って座禅をすると偽り、太郎冠者を身替りに仕立て、花子の許へと出かけます。浮気性の右京が、その思いを遂げるため、何とか妻の玉の井を騙そうとするやりとりが前半の見どころとなっています。後半は、花子の許から帰ってきた右京が、花子との逢瀬の様子を巧みな踊りで語ってみせます。この作品の最大の見どころであり、舞踊劇の本領が大いに発揮されるこの場面は、衾の下で嫉妬と夫への怒りに震える玉の井、それに気づかずに浮かれた様子の右京の姿の対比が面白く描かれています。
ユーモア溢れる喜劇ですが、松羽目物としての格式と品格をも湛えることが重要で、演者の技量が求められるしどころ満載の狂言舞踊です。

『船弁慶』作品紹介

『船弁慶』は、明治十八(一八八五)年に九世團十郎が初演した松羽目舞踊で、新歌舞伎十八番の一つ。作者は河竹黙阿弥、作曲は杵屋正次郎。九世の死後、六世菊五郎がさらに洗い上げて当たり役にしました。能『船弁慶』を題材にしていますが、静御前の舞や後シテの扮装、演技など、随所に歌舞伎味を取り入れた構成に工夫と特色があります。
弁慶が登場して義経主従が都落ちする理由と大物浦に着いたことを語ると、花道から義経一行が現れ、本舞台に一同が揃ったところで、静御前を都へ帰すように進言します。静は義経との別れを悲しみ、義経の所望で「都名所」を舞います。黙阿弥が創作した歌舞伎風の舞です。能面の心で表情を殺して、動きと舞で静の悲しみを見せるのが菊五郎の狙いでした。最後に烏帽子が落ちるのが悲しみの表現の象徴です。出船になり舟長と舟子たちが賑やかに踊るのは息抜きの場面。次に、早笛の太鼓で知盛の幽霊が花道に現れます。銀色の法被、大口に薙刀を持った姿は能写しですが、歌舞伎らしく藍隈を取っています。「あら珍しや、いかに義経」の台詞の後、知盛は義経に迫りますが、荒海に現れた幽霊を表現するため、足の動きに技巧を見せます。薙刀を首に当てて回転しながら引っ込む幕外は豪快で、最大の見どころとなっています。

野田版 鼠小僧(のだばん ねずみこぞう)



野田版 鼠小僧(のだばん ねずみこぞう)予告動画

平成15年8月歌舞伎座において大ヒットとなった舞台です。
現代演劇界を代表する奇才、野田秀樹の作・演出で、中村勘三郎を始めとする豪華で個性的な俳優たちの競演です。

あらすじ

正月、江戸の町では鼠小僧の芝居が大人気。見物客の中で、棺桶屋の三太(さんた)がずる賢く金稼ぎに励んでいます。金にしか興味のない三太は、実の兄が死んでも棺桶屋の出番と喜ぶ始末。その上遺産があると聞いて大はしゃぎ。ところが遺産は善人と評判の與吉(よきち)が相続することに。他人には渡すものかと一計を案じた三太は、兄の死体の替わりに棺桶の中へ忍び込みますが・・・江戸町奉行から幽霊まで、個性溢れる登場人物達を、豪華な顔触れが賑やかに楽しく演じます。

鷺娘/日高川入相花王(さぎむすめ/ひだかがわいりあいざくら)



鷺娘/日高川入相花王(さぎむすめ/ひだかがわいりあいざくら)予告動画

『鷺娘』作品紹介

1978年に初めて「鷺娘」を演じた玉三郎は、1984年、世界的アーティストが顔を揃えたメトロポリタン・オペラハウスのガラコンサートで上演して大喝采を浴びました。その後もロンドン、ベルリン、ウイーンなど、芸術の都で次々と成功させ、いずれも高い評価を受けました。こうして国内外で上演を重ねる毎に、その圧倒的な美しさと完成度を高め、「鷺娘」は玉三郎の代表作の一つとなりました。

しんしんと雪が降る水辺の岸に、柳の木が一本立っています。その柳の傍らに、蛇の目傘をさした娘が佇んでいます。白無垢、綿帽子姿のその娘は、実は白鷺の精でした―

『日高川入相花王』作品紹介

人形浄瑠璃を歌舞伎舞踊化した「道成寺物」の作品で、人形振りでみせる趣向となっています。恋する安珍を追って日高川の渡し場にたどり着く清姫ですが、船頭は川を渡してくれません。安珍への嫉妬と恨みの激情を燃やす清姫はついに―。人形遣いを尾上菊之助が、船頭を坂東薪車が勤めます。

京鹿子娘二人道成寺(きょうかのこむすめににんどうじょうじ)



京鹿子娘二人道成寺(きょうかのこむすめににんどうじょうじ)予告動画

平成18年2月歌舞伎座で上演され、歌舞伎の女方舞踊の最高峰『娘道成寺』の歴史に新たな一ページを加えた名舞台がスクリーンによみがえります。

上演時からすでに伝説となった、あのまばゆいばかりの華やかな世界に、さらに映像ならではの工夫を加え、まだ誰も見たことがない美の世界を創り上げました。歌舞伎の美、女方の美を極限まで堪能できる一作です。

坂東玉三郎と尾上菊之助が誘う美の迷宮に足を踏み入れ、こころゆくまで酔いしれてください。

『京鹿子娘二人道成寺』あらすじ

紀伊国の道成寺では、新しい釣鐘の供養が行われていました。道成寺の釣鐘は、恋人安珍を追いかけ、恋しさのあまり大蛇と化した清姫によって焼き滅ばされていたのでした。そこへ白拍子花子(玉三郎・菊之助)が現れ、鐘の供養を拝みたいと頼みます。舞を舞うことを条件に参列が許された花子は、さまざまに舞い、踊ります。

しかし花子は実は清姫の怨霊で、その昔安珍を匿い、自分との仲を隔てた釣鐘に恨みを残しているのでした。僧たちの油断を見澄ました花子は、やがて大蛇の正体を現すと、釣鐘もろともいずこともなく去ってゆくのでした。

野田版 研辰の討たれ(のだばん とぎたつのうたれ)



野田版 研辰の討たれ(のだばん とぎたつのうたれ)予告動画

木村錦花原作の歌舞伎狂言「研辰の討たれ」を、野田秀樹が新しい視点で書き直し、演出した舞台。平成13年8月の納涼歌舞伎で初演され、大ヒットとなりました。平成17年5月歌舞伎座において、十八代目中村勘三郎襲名披露狂言として再び上演された舞台が、シネマ歌舞伎としてよみがえります。

あらすじ

赤穂浪士討ち入りのニュースは、江戸から離れたここ近江の国、粟津藩にも伝えられ、剣術の道場はその話題で持ちきりです。しかし一人だけ、赤穂浪士を馬鹿にする人物がいました、もと町人、研屋あがりの守山辰次です。仇討ちなんて馬鹿馬鹿しい、武士といえども潔い死を望まない武士もいる筈だと言い出す辰次を、家老の平井市郎右衛門が叱り付けました。すると現実的で抜け目ない辰次はすぐに態度を変え、剣術に優れた市郎右衛門に剣術を学びたいとお追従を言う始末。主君の奥方、萩の江の前で、市郎右衛門に散々に打ち据えられて、辰次は仕返しに一計を案じますが・・・

ふるあめりかに袖はぬらさじ(ふるあめりかにそではぬらさじ)



ふるあめりかに袖はぬらさじ(ふるあめりかにそではぬらさじ)予告動画

『ふるあめりかに袖はぬらさじ』作品紹介

有吉佐和子の手になる本作は、昭和47年名古屋中日劇場の文学座公演で、杉村春子のお園ほかの配役で初演されました。昭和63年には杉村春子の当たり役であったお園役を坂東玉三郎が受け継ぎ、以後、繰り返し上演されて来た名作舞台です。

そして、平成19年12月歌舞伎座公演では、ついに歌舞伎として初上演され、坂東玉三郎渾身の演技(九度目の芸者・お園)、豪華キャスト競演で大評判となりました。

あらすじ

時は幕末、開港まもない横浜の遊郭「岩亀楼(がんきろう)」で、ひとりの遊女が自ら命を絶ちます。おりから吹き荒れる尊王攘夷の嵐の中、「攘夷女郎」の伝説にいやおうな一役買っていくお園 ...。

連獅子/らくだ(れんじし/らくだ)



連獅子/らくだ(れんじし/らくだ)


『連獅子』作品紹介

河竹黙阿弥作詞による歌舞伎舞踊の人気演目のひとつ。2007年10月に新橋演舞場にて、親獅子を中村勘三郎、子獅子を実の息子である勘九郎、七之助が踊った舞台を、『人情噺文七元結』に続き、日本映画界の名匠・山田洋次監督がシネマ歌舞伎にしました。今作では山田監督の意向により、シネマ歌舞伎史上初となる、舞台上に設置したカメラで舞台稽古を撮影し、客席からでは決して観ることのできない迫力ある映像が誕生。

親獅子が子獅子を千尋の谷に突き落とし、駆け上がって来た子獅子だけを育てるという故実を、実際の親子が演じることでことさらに感動がかき立てられます。クライマックスの白の毛の親獅子、赤い毛の子獅子による、息の合った豪快、かつ、華麗な毛振りは必見。



『らくだ』作品紹介


傑作古典落語が題材の『らくだ』。2008年8月、勘三郎の久六と三津五郎の半次のコンビで、歌舞伎座を笑いの渦にした舞台が、早くもシネマ歌舞伎に登場!

フグに当たって頓死した通称"らくだ"の馬太郎。仲間の半次は、弔いの金を用立てようと、紙屑買いの久六に声を掛けるが、らくだの家には売るものは何も無い ――。困った半次は久六を家主のもとに使いに出し、通夜の酒肴を出さないと、死人を担いでカンカンノウを躍らせるぞと脅す。ところが家主は、らくだが死んだとあれば祝いたいと言い、その上死人のカンカンノウは見たことがないので初物を見たいものだと言いだす始末。これを聞いた半次はらくだの馬太郎の遺体を引き起こし、嫌がる久六に負ぶわせて、ふたりで家主のもとへ向かう......。

※「カンカンノウ」は、中国清朝時代の音楽「清楽」が元歌で、長崎の出島から伝来したらしい。「看看嚇送奴個九連環」といった歌詞で、九連環とは知恵の輪。「見ておくれ、私がもらった九連環。どなたか解いてくださいな」が大意。唐人踊りと称し太鼓などの伴奏で踊るのが十九世紀前半の江戸、大阪で流行した。




2016年8月8日月曜日

伊達の十役



「伊達の十役」 市川海老蔵/片岡愛之助/他

8月納涼歌舞伎


8月納涼歌舞伎

一、嫗山姥(こもちやまんば)

紙衣姿の八重桐がみせる“しゃべり ”の妙味
 以前は傾城であり、今は傾城の恋文の代筆をして歩く八重桐は、ある館の前で、自分と行方知れずの夫の坂田蔵人時行しか知らないはずの歌を耳にします。誰が歌っているのか確かめるため館に入り込むと、人々のなかに、煙草屋姿の時行を見つけます。乞われるまま八重桐は、時行にあてつけるように廓での痴話喧嘩の様子を語ります。やがて親の敵討ちのために家を出たのだと明かす時行に、八重桐はその敵は時行の妹が討ったと伝えます。これを恥じた時行が申し訳のため切腹をすると、その魂が八重桐の体内に宿り…。
 近松門左衛門による「しゃべり」と呼ばれる長咄を聴かせる趣向。

二、権三と助十(ごんざとすけじゅう)

喧嘩っ早いが人情に厚い江戸っ子たちの喜劇
 裏長屋では、年に一度の井戸替え中。しかし駕籠舁(かごかき)の権三が井戸替えに顔を出さないので相棒の助十と大喧嘩になります。そこへ長屋に住んでいた小間物屋彦兵衛の息子の彦三郎がやって来て、人殺しの罪を着せられて牢死した父の無実を、家主の六郎兵衛に必死に訴えます。これを聞いた二人は、事件の夜に左官の勘太郎が現場付近で刃物を洗うのを目撃したと証言します。そこで六郎兵衛は一計を案じ、権三、助十、彦三郎と共に奉行所へ訴え出ます。しかし、罪を認めない勘太郎は釈放されてしまい…。
 江戸の風物と市井の人々が生き生きと描かれた世話物。

一、東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)

東海道だけではおさまらない奇想天外な道中記
 弥次郎兵衛と喜多八は、まともに働きもせず、毎日好き放題に自堕落な生活をしています。賭け事に負け続け、金もなく途方に暮れていた二人はつまらない人生を変えたいと願うばかり。そこへ伊勢参りをすれば何でも願いがかなうという話を耳にします。うだつが上がらない生活に嫌気がさした弥次郎兵衛と喜多八は、すべてから逃げるように伊勢参りへと旅立ちます。その道中で持ち金のほとんどを失った二人が新たに向かった先は…。

二、艶紅曙接拙(いろもみじつぎきのふつつか)

江戸商人の様々な姿を披露する風俗舞踊
 富士山の山開きで賑わう江戸の浅草。蝶々売留吉と町娘お梅、大工駒三達のもとへ角兵衛獅子の神吉と清吉、朝顔売阿曽吉、庄屋銀兵衛、団扇売お静、虫売りおすずも集り、何か面白いことはないかと話しています。そこへ現れたのは、小間物屋の紅翫こと紅屋勘兵衛。面白い三味線を弾いて人気者の紅翫は、皆に呼び寄せられ次々に芸を披露していきます。怒り上戸、泣き上戸、笑い上戸を踊り分け、続いて芝居に登場する人物を演じていきます。そして皆と踊りに興じるのでした。
 夏に涼しさを売る商人たちが登場する、季節感あふれる舞踊です。

一、新古演劇十種の内 土蜘(つちぐも)

土蜘退治伝説をもとにした松羽目物の荘重な舞踊劇
 病の床に伏せる源頼光のもとへ、典薬頭の薬を届けに侍女の胡蝶がやって来ます。頼光の所望に従い胡蝶が紅葉の様子を物語ると、頼光は一時病のことを忘れます。その後、胡蝶が去り再び苦しむ頼光の前に、どこからともなく智籌と名のる僧が現れ、病平癒の祈念を申し出ます。しかし、灯下に映る智籌の怪しい影に気づき頼光が刀で斬りつけると、土蜘の精の本性を顕し消え失せます。そして館の庭では番卒たちが土蜘退治を祈願し、巫子は諫めの舞を舞い始めます。一方、土蜘退治に向かう保昌が四天王とともに智籌の血潮を辿り東寺の裏手に着くと…。
 智籌の漂わせる不気味さ、千筋の糸を投げかけての勇壮な立廻り。

二、廓噺山名屋浦里(さとのうわさやまなやうらざと)

堅物の田舎侍と吉原随一の花魁が魅せる人情噺
 江戸留守居役の寄合で、江戸の流儀に馴染めぬ酒井は、次回は自分の役宅で国の行く末を語り合おうと提案します。しかし、次回は互いに馴染みの遊女を紹介する趣向だと告げられたうえ、国元の踊りを笑われ、主君の悪口まで言われた酒井は、次回は自分も馴染みの女を紹介すると言い切ります。その直後、吉原一の花魁、山名屋浦里と偶然に出会った酒井は、ある決意をして山名屋へ乗り込むと、主人の平兵衛に、浦里に会わせてもらいたいと懇願します。丁重に廓の掟を説く平兵衛らのもとに、意外な人物が姿を現し…。
 笑福亭鶴瓶の新作落語「山名屋浦里」を題材にした新作歌舞伎にご期待ください。

近松門左衛門 作

武智鉄二 補綴

一、嫗山姥(こもちやまんば)

岩倉大納言兼冬公館の場

荻野屋八重桐
太田太郎
局藤浪
沢瀉姫
煙草屋源七実は坂田蔵人時行

巳之助
歌女之丞

橋之助

岡本綺堂 作

大場正昭 演出

二、権三と助十(ごんざとすけじゅう)

権三
助十
権三女房おかん
助八
小間物屋彦三郎
猿廻し与助
左官屋勘太郎
石子伴作
家主六郎兵衛

染五郎
七之助
巳之助
壱太郎
宗之助

調
彌十郎

第二部

奇想天外!お伊勢参りなのにラスベガス?!

十返舎一九 原作より

杉原邦生 構成

戸部和久 脚本

市川猿之助 演出

一、東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)

弥次郎兵衛
      宙乗り相勤め申し候
喜 多 八

弥次郎兵衛
劇場支配人出飛人/奉行大岡伊勢守忠相
盗賊白井髭左衛門
天照大神
十六夜
茶屋女お稲実は三ツ大お新
五日月屋番頭藤六
梵太郎
政之助
読売屋文春
老船頭寿吉
家主七郎兵衛
役者/女札親師毬夜
石油王夫人麗紅花
役者/用人山田重右衛門
闇金利太郎
アラブの石油王亜剌比亜太
五日月屋女房お綺羅
女房お米
喜多八
染五郎

市川右近

壱太郎

廣太郎
金太郎

弘太郎
寿


笑三郎


門之助
高麗蔵
竹三郎
猿之助
    ※『東海道中膝栗毛』脚本変更につき、役名、配役に変更があります(7月23日記)。

二、艶紅曙接拙(いろもみじつぎきのふつつか)

紅翫

紅翫
朝顔売阿曽吉
団扇売お静
蝶々売留吉
町娘お梅
大工駒三
角兵衛神吉
角兵衛清吉
庄屋銀兵衛
虫売りおすず
橋之助
勘九郎
七之助
巳之助
児太郎



彌十郎

第三部

河竹黙阿弥 作

一、新古演劇十種の内 土蜘(つちぐも)

叡山の僧智籌実は土蜘の精
平井左衛門尉保昌
源頼光
巫女榊
渡辺源次綱
坂田主馬之丞公時
碓井靭負之丞貞光
卜部勘解由季武
太刀持音若
石神実は小姓四郎吾
番卒藤内
番卒次郎
番卒太郎
侍女胡蝶
橋之助

七之助
児太郎





波野哲之
巳之助
勘九郎
猿之助

笑福亭鶴瓶の新作落語を歌舞伎に!

くまざわあかね 原作

小佐田定雄 脚本

今井豊茂 演出

新作歌舞伎

二、廓噺山名屋浦里(さとのうわさやまなやうらざと)


酒井宗十郎
花魁浦里
牛太郎の友蔵
留守居役田中
留守居役秋山
山名屋平兵衛
勘九郎
七之助
駿河太郎

彌十郎

秀山祭九月大歌舞伎


秀山祭九月大歌舞伎


一、碁盤忠信(ごばんただのぶ)

佐藤忠信が碁盤を持って戦った伝説をもとにした荒事
 ここは、京の鳥辺野。吉野から源義経一行を落ち延びさせた家臣の佐藤忠信が、京へと戻りこの界隈に潜んでいると噂されています。その忠信は、実は京都の堀川御所に隠れ住み、義経の影武者となっています。忠信の元へやって来た舅の小柴入道浄雲は、実は梶原景高に内通しており忠信の命を狙っています。しかし、そこへ忠信の亡き妻小車の亡霊が顕れ、父の行いを諫めます。忠信は、散らばった碁石から危険を察知し、義経の鎧を身につけ浄雲をかわします。そこへ横川覚範が現れますが…。
 碁盤片手の立廻りなど歌舞伎味あふれる荒事をご堪能ください。

二、太刀盗人(たちぬすびと)

飄逸な滑稽味と松羽目物の品格が漂う舞踊劇
 京へやって来た田舎者の万兵衛は、国元への土産を買おうと新市を見て回っています。その様子を見たすっぱの九郎兵衛は、万兵衛が持つ黄金造りの太刀を奪い取ろうと企てます。これに気づいた万兵衛が騒ぎ立てるところへ、目代が現れ二人の争いを裁くことになります。目代の問に万兵衛が答えると、それを盗み聞きして九郎兵衛も同じように答えます。太刀の由来などを踊ってみせる二人ですが、やがて万兵衛は、九郎兵衛が自分の真似をしていることに気がついて…。
 万兵衛を真似て九郎兵衛が半間ずつ遅れて舞う舞など、可笑しみあふれる一幕です。

三、一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)

  檜垣・奥殿

阿呆の顔の裏に包み隠した本心
 平家全盛の時代、能狂言に現を抜かし阿呆として知られる一條大蔵卿は、源義朝の妻であった常盤御前を妻に迎えます。源氏の忠臣吉岡鬼次郎は、常盤御前に源氏再興の意志があるのか本心を探ろうと、大蔵卿の許に妻のお京を送りこみ、その手引により、大蔵卿の館に潜り込みます。楊弓に興じている常盤御前を見て、鬼次郎夫婦は詰め寄りますが、実はその矢には平家調伏の願いが掛けられたものでした。この様子をうかがっていた家老の八剣勘解由が、平清盛に注進しようとするのを制したのは、常の姿とは異なる威厳を湛えた大蔵卿でした…。

一、吉野川(よしのがわ)

互いの親子の情愛から悲劇へと転じる詩情あふれる義太夫狂言の大作
 紀伊国を領する大判事家と大和国を領する太宰家とは、吉野川をはさんで両岸に位置しています。それぞれの息子久我之助と息女雛鳥は、相思相愛の仲ですが、親の不仲ゆえ会うことがかないません。そのような中、蘇我入鹿から、大判事清澄は、久我之助を出仕させるよう、また太宰の未亡人定高は雛鳥を妾に差し出すよう、それが聞き入れられない時は首を打てと命じられ、それぞれ帰宅します。大判事と定高は、不和の仲ではありましたが、互いに我が子を犠牲にして相手の子供だけは助けようとの心づもりでいます。そして大判事と定高は、互いに申し合わせていた合図を偽って送りますが…。
 両花道を吉野川の両岸に見立て客席をも劇空間に取り込む趣向が特色の物語。

二、らくだ

落語をもとにした笑いあふれる一幕
 手斧目(ちょうなめ)の半次が、悪友のらくだと仇名される馬吉の家にやって来ると、らくだは河豚の毒で頓死していました。そこへ通りかかった紙屑買の久六を呼び止めた半次は、らくだの家財道具を売り払い弔いの金を用立てようとします。しかし久六は、この家には何もないと語るので、次に半次は、家主に通夜の酒と肴を供えさせようと久六に行かせますが、断られます。すると半次は、久六にらくだの遺体を担がせて家主を訪ねると、そこでらくだを抱きかかえて踊らせ、驚く家主に差し入れを了承させます。そして半次と久六は酒盛りを始めますが…。
 遊び人の半次と小心者の久六の立場が次第に逆転していく様子をお楽しみください。

三、元禄花見踊(げんろくはなみおどり)

花見の様子を華麗な扮装と派手やかな長唄で魅せる舞踊
 元禄の世。桜が満開の上野の山は、大勢の花見客で賑わっています。ここへ派手やかに着飾った人々が花見に訪れ、辺りは一層華やぎます。花見用に新調した華麗な着物を着て浮かれ気分で楽しんでいる皆々は、酒を飲み交わすうちに、ほろ酔い気分で踊り始めます。綺麗な月明かりが桜を照らすなか、皆一緒になって花を愛で、総踊りを披露していきます。上野の山は、花盛りとともにますます盛り上がっていくのでした。

右田寅彦 作

松岡 亮 補綴

一、碁盤忠信(ごばんただのぶ)

佐藤忠信
塩梅よしのお勘実は呉羽の内侍
右平太
左源次
万寿姫
三郎吾
小車の霊
浮橋
壬生の小猿
摺針太郎
宇都宮弾正
江間義時
番場の忠太
横川覚範
小柴入道浄雲
     染五郎
     菊之助
     
     萬太郎
     
     
     児太郎
     宗之助
     
     由次郎
     
     
     
     
     

岡村柿紅 作

二、太刀盗人(たちぬすびと)

すっぱの九郎兵衛
田舎者万兵衛
従者藤内
目代丁字左衛門
     又五郎
     錦之助
     種之助
     彌十郎

三、一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)

檜垣
奥殿
三代目中村吉之丞襲名披露

一條大蔵長成
吉岡鬼次郎
お京
八剣勘解由
鳴瀬
茶亭与一
常盤御前
     吉右衛門
     菊之助
     
吉之助改め吉之丞
     
     橘三郎
     

夜の部

妹背山婦女庭訓

一、吉野川(よしのがわ)

大判事清澄
久我之助
腰元桔梗
腰元小菊
雛鳥
太宰後室定高
     吉右衛門
     染五郎
     
     萬太郎
     菊之助
     玉三郎

岡 鬼太郎 作

眠駱駝物語

二、らくだ

紙屑買久六
手斧目半次
駱駝の馬吉
半次妹おやす
家主佐兵衛
家主女房おいく
     染五郎
     
     寿
     
     
     

三、元禄花見踊(げんろくはなみおどり)

元禄の女
元禄の男
元禄の男
元禄の男
元禄の男
元禄の男
元禄の男
元禄の女
元禄の女
元禄の女
元禄の女
     玉三郎
     亀三郎
     寿
     
     萬太郎
     
吉之助改め吉之丞
     
     種之助
     
     児太郎